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本日紹介するのは、吉村昭『蜜蜂乱舞』(新潮文庫)です。 私が小学生のころ、我が家の土地(牧草地の一角)を養蜂家の人に貸したことがありました。夏の終わりごろ、お礼としてハチミツをもらいましたが、そのとき、蜂の巣ごと食べさせていただき、一口噛むほどに溢れてくる蜜の味に恍惚とした記憶があります。 本書『蜜蜂乱舞』は、鹿児島県は鹿屋市に住み、養蜂を営む伊八郎一家の生活を描いた物語ですが、彼らは、蜜のもとになる花を追って、毎年、日本列島を北上する旅に出ます。その到達点が北海道で、伊八郎一家は、北海道は十勝地方、私のよく知っている町にまで来ていて、驚きました。 そして、そのときにふと思ったのです。もしや、あのときの養蜂家も、伊八郎一家と同じように、日本列島を北上してきた末に、我が家のある町にたどりついたのではないか、と。 小説自体は、吉村さんにしては珍しいホームドラマになっていて楽しめますが、それとともに、素敵な思い出もよみがえってきたので、個人的には好きな作品になりました。 次回は猪瀬直樹『欲望のメディア』を紹介します。 |
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